「気味の悪い子供だな、貴様は」
「真実はいつも不気味なものだよ、紅雀君」
「其の奇妙な味のする果実を、きみは食べるかい?」

罪と意味が深く、まじりあう――。

「ぼくはまだ、子供なので好くわかりません」
「紅雀君も、子供だからわからなくて好いんだよ」
「先生は好い大人ですので、わからないのは困りますネエ」

其れは、金平糖のように甘く、きらきらと――棘のある。

非時toki-jikuシリーズ・大正篇
目隠シ大正活劇【ぜんまい島綺譚】
mimei

【曲目・試聴】


@ ぜんまい島綺譚

作詞・作曲・歌唱:浅草稀譚 編曲:mimei

A A坂の殺人(instrumental)

作曲:浅草稀譚 編曲:mimei

B 無邪気な夜の子供

作詞・作曲・歌唱:浅草稀譚 編曲:mimei

C 不死者(instrumental)

作曲:浅草稀譚 編曲:mimei

全4曲・プレスCD・フルカラーレーベル
イベント価格¥500 委託価格¥735(委託情報

イラスト:雨 (conronca)


【イベント】

12/30(水)コミックマーケット77にて初頒布予定
(終了しました)

新作
【ぜんまい島綺譚】\500

旧作
虚の蝶の目隠し鬼】【未明堂異聞】【されこうべアリス】各\700

当日はなるべくお釣のないようご協力お願い致します

◆先着順でポストカードとすこし早めの年賀状を差し上げます◆

ポストカード見本

年賀状見本


【物語】

非時toki-jikuシリーズ・大正篇
目隠シ大正活劇【ぜんまい島綺譚】

きはよいよい、かえりはこわ
confeito



「誰が天使したの?」

時は大正十年。処は帝都から程近い海上に浮かぶZ島。
幾重もの結界により、常人にはその島影を見る事も叶わない。
大富豪にして建築家である島の主、赤坂偽眼。
聳え立つ、通称“浅草十二階”こと凌雲閣に瓜二つの塔、“赤坂十二階”。
塔の最上階に棲むと云う天使。地下迷宮に蠢く侏儒たち。
招待状を手に、島へと足を踏み入れる、藪不知雀と樺つぐみ。
目隠しに導かれ、十二階の天使をめぐる物語の鐘が今、鳴り渡る――。

「其れは――が云った」

“非時(ときじく)”=記紀神話に登場する不老不死の果実(橘)より
“目隠シ大正”=現実と同じ処もあり違う処もある大正時代

※本作品は音楽CDになります※


【告知Flash】



使用BGMはCD未収録曲です


【主な登場人物】
(『虚の蝶の目隠し鬼』特設サイトの《物語・人物》頁もご覧下さい)

◆藪不知紅雀(やぶしらず・くじゃく)
「目隠し、貴様――斬る」
中学四年生(現在の高校一年生相当)。アルビノ。前髪で片目が隠れている。
父は吸血鬼、母は人間で華族の出。しいなとは父親の件で因縁がある。
硬派だが、同級生からウッカリ“親不知”と呼ばれる事もあるらしい。

◆白樺つぐみ(しらかば・つぐみ)
「血液は如何ですか? 紅雀様」
看護婦。紅雀の世話係で密かな想い人。優しく微笑むマドンナ的存在。
紅雀の私服は彼女が選んでおり、それを拒めない紅雀は「制服が気に入っている」と誤魔化し、外では常に制服を着用している。

◆音橘しいな(おとたちばな・しいな)
「通りすがりの目隠し童子です」
中学に行っていれば二年生。鬼の血を引き、“お役目”時には目隠しで両目を隠す。
しいな曰く“友人”の紅雀からは、忌々しげに“目隠し”と呼ばれている。
ゆめゆめこの目隠しの云う事を、真に受けてはいけない。

◆眈々(たんたん)
「がう?」
白虎。しいなの被っている“巨きな猫”が具現化した存在、と云うのは冗談。

◆吸太郎(きゅうたろう)
「きゅ〜」
蝙蝠。紅雀に懐いているが、素っ気無い態度を取られ続けている。

◆赤坂偽眼(あかさか・ぎがん)
「誰も天使は殺していない」
Z島の主。大富豪にして建築家。謎多き人物。

◆赤坂可憐(あかさか・かれん)
「私の足は、天使に切られたの」
偽眼の娘。義足に赤い靴を履き、車椅子に乗っている。

◆麻布離淡(あざぶ・りたん)
「子供相手に怒るのも大人気ない。其れに、音橘(月彦)君には世話になった」
しいなの一回り歳の離れた友人でカモ。前途が有望でない駆け出し作家。
哀れしいなに眼鏡を奪われ、度の合わぬ古い眼鏡で奮闘(?)するも……。

◆音橘月彦(おとたちばな・つきひこ)
「麻布君が優しいからと云って、あまり甘えてはいけないよ」
しいなの一回り歳の離れた従兄で主、と云うより父親代わり。琵琶弾き。
離淡とは中学の同級で友人。女学校の図画教員をしている。背広眼鏡。

◆音橘未明(おとたちばな・みめい)
「作家先生は“びめい”だが、おれの名前は“みめい”だ」
しいなの「親父殿の莫迦莫迦!」な親父殿。鬼の血を引く。外見は二十代。
人を喰ったような性格。浅草にある甘味処《未明堂》の不良店主。


【リンク】

リンクは(http://totsu-kuni.net/)にお願いします


200×40




400×100


200×200


150×150


【コバナシ】
(口数の多いしいなと少ない紅雀の会話、オチにチョットだけ離淡)

 目隠しが、愉しげに唇を尖らせ拗ねる。
「ぼくとつぐみさんは似ているから、紅雀君は屹度、ぼくの事も好きになってくれると思ったのに」
「何を云う!」
「うふふ、真っ赤になって。紅雀君はウブだねぇ」
 彼の人への思慕を悟られ、己の熱を感じながら、紅雀は努めて冷めた声で。
「つぐみは貴様になど似ていない」
「残念、実はぼくがつぐみでした」
 絶句。
「目隠しを外すとああ云う顔してるの。後は化粧と鬘で、背はヒールで高くして」
 日傘を持ち首をかしげる、其の仕草がそっくりで。
「胸には詰め物を、ね」
 薄い胸に手を当て。
「戯けたことを!」
「ぼくとつぐみサンが同時に現れた事って、ある?」
 つぐみが現れたのは、父親としいなの件の、直ぐ後だった。
「ないよね? 声色だって、自由自在さ」
 耳を塞ぐ前に。
「く・じゃ・く・さ・ま」
 ――同じ声で、同じ唇の動きで。
 紅雀は目眩みがした。

「此の島に、埋蔵金は眠っていないのかしら?」
「紅雀君の母様は華族なんでしょ、何か聞いていない?」
 一閃。
「――母の事は云うな」
「うわあ。今のぼくじゃなかったら死んでるよ?」
「ぼくは鬼の血を四分の一引いていて、紅雀君は吸血鬼の血を半分引いている」
「紅雀君のほうがぼくより、倍バケモノだね」
「貴様にだけは云われたくない」
「マアマア、“鬼”が付く者同士仲良くしようヨ」
「断る」
「マアマア、ぼくの血をあげるからサ」
「断る」
「きみの父様はあんなに欲しがっていたのに」
「奴の事は云うな」
「難儀な父親を持つと苦労するよねえ」

「『十二階には天使がいる』、だって」
「ぼくのガァルフレンドに天使がいるけど、其の子も紅雀君と同じ半分」
「まァ今のご時世、本物のバケモノなんてそうはいない」
「親父殿たちのご活躍のお蔭でね」
「“明治の父”は偉大だねえ」
「紅雀君の父様も、ぼくが滅したしね」
「布切れ一枚の変化で化け物と渡り合う、貴様の方が余程化け物だな」
「ぼくの目隠しは、ひと味違うよ?」
「人の姿を保てると云うのは、羨ましい事だ」
「大切なのは心だよ、紅雀君」

「……しいな君、きみは本当に子供なのかい?」
「本当に大人なのですか? 先生は」